「退職代行を使うのは甘えだ」
こう思っている人は少なくありません。実際、退職代行を検討している本人が一番そう思っているケースも多い。
この記事では、JTC大企業で管理職を務め、部下の退職を100件以上見てきた筆者が、「退職代行は本当に甘えなのか」を管理職目線で正直に答えます。
結論:退職代行は甘えではない
先に結論を言います。退職代行は甘えではありません。
退職は労働者の権利です。民法627条で「雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と定められています。つまり法的には2週間前に申し出れば誰でも辞められる。
退職代行は、この「法的に認められた権利」を代わりに伝えてくれるサービス。権利を行使するための手段に「甘え」も何もないのです。
「甘え」と感じてしまう5つの理由
① 「自分で言うべき」という社会通念
日本には「退職は直接上司に伝えるべき」という暗黙のルールがあります。確かに、円満退社のためには直接伝えるのが理想です。
ただし管理職として言わせてもらうと、「直接言えない環境を作った側にも責任がある」。パワハラ上司、引き止めがしつこい企業、退職届を受け取らない会社。こうした環境では「直接言う」こと自体が不可能な場合があります。
② 「お世話になった人に失礼」という罪悪感
これは最も多い悩みです。お世話になった上司や同僚に申し訳ないという気持ち。
気持ちはわかります。でもあなたの人生は、会社の同僚のためにあるわけではない。感謝の気持ちと退職の判断は別の話です。退職後に改めてお礼を伝えることは、退職代行を使った後でも可能です。
③ 「我慢が足りない」という自責
「もっと頑張れるはず」「まだ1年しか働いていない」「石の上にも3年」。
管理職の本音を言うと、「我慢して壊れた社員」を何人も見てきました。うつ病で半年休職、復帰しても再発、結局退職。我慢した結果がこれです。
「辞めたい」と思った時点で、もう十分我慢している。それに気づいていないだけです。
④ SNSで「退職代行は甘え」という意見を見た
退職代行に批判的な意見は確かにあります。でもその大半は「退職代行を使ったことがない人」の想像です。
実際に使った人の声を見ると、「もっと早く使えばよかった」「精神的に限界だった」「直接言ったらもっと傷ついていた」という意見が圧倒的に多い。
⑤ 費用がかかる(2〜5.5万円)ことへの抵抗
「お金を払ってまで辞めるなんて」という気持ち。
でも考えてください。退職代行に3万円払うのと、メンタルを壊して半年休職するのと、どちらが高くつくか。有給消化の交渉をしてくれる労働組合系の退職代行なら、有給分の給与で費用は十分回収できます。
退職代行を使って「後悔する人」の特徴
退職代行を使うこと自体は甘えではありませんが、使い方を間違えると後悔する人がいるのも事実です。
後悔するパターン
- 「辞めたい」が一時的な感情だった:繁忙期の疲れや一時的な人間関係の悪化で退職代行を使い、後から「冷静に考えれば辞めなくてよかった」と後悔
- 次のキャリアを何も考えていなかった:辞めることだけが目的で、退職後の転職活動・生活費の準備がゼロ
- 同僚に一切の説明をしなかった:退職後に「なぜ急にいなくなったのか」と元同僚との関係が完全に切れた
後悔しないために
- 「辞めたい」が2週間以上続いているか確認する:一時的な感情なら、まず休暇を取ってリセットする方が先
- 退職後の最低限のプランを作る:転職先を決めてから辞めるか、3ヶ月分の生活費を確保してから辞めるか
- 信頼できる同僚には個別に連絡する:退職代行を使った後でも、LINEやメールで「急な退職ですみません」と一言伝えるだけで印象は変わる
退職代行を使って「良かった」人の特徴
- パワハラ・モラハラが原因で直接言えなかった:上司が怖い、引き止めがしつこい等の「言えない理由」が明確
- 心身に不調が出ていた:不眠、食欲不振、出社前の吐き気。身体がSOSを出している状態
- 退職届を受理してもらえなかった:退職を伝えても「受理しない」と突っぱねられた経験がある
- 次のキャリアが決まっていた:転職先が決まった上で、退職手続きだけを代行してもらった
管理職が本音で思うこと
退職代行を使われた管理職の気持ちを正直に書きます。
最初の感情は「怒り」ではなく「反省」
まともな管理職なら、部下に退職代行を使われたら最初に考えるのは「直接言えない環境を作ってしまったのかもしれない」です。
怒る管理職もいるでしょう。でもそういう上司だから退職代行を使われたのです。退職代行を使われる上司は、使われるだけの理由がある。
業務は回る
「自分が辞めたらチームが回らなくなる」と心配する人がいますが、管理職として断言します。誰が辞めても業務は回ります。
もちろん一時的に負荷は上がります。でも組織は調整するもの。あなたの代わりがいないのではなく、まだ代わりを探していないだけ。罪悪感は不要です。
退職代行を検討している方へ
この記事を読んで「やっぱり使おうかな」と思った方は、以下の記事で退職代行サービスの比較をしています。
「まだ退職代行を使うほどじゃないけど辞めたい」という方は、まず転職エージェントに登録して市場価値を確認することから始めてみてください。転職先が決まれば、退職を伝える勇気も自然と湧いてきます。
まとめ
- 退職代行は甘えではない。法的に認められた権利を行使するための手段
- 「甘え」と感じるのは社会通念・罪悪感・自責が原因。感情と事実は分けて考える
- 後悔する人は「一時的な感情」「次のプランなし」のケース
- 後悔しない人は「明確な理由」「次のキャリアが決まっている」ケース
- 管理職の本音:退職代行を使われるのは、使われるだけの理由がある
- 身体に不調が出ているなら、壊れる前に逃げるのは生存戦略
※ 本記事は退職代行の利用を推奨するものではなく、選択肢として正しく理解していただくための情報提供です。

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